UNESCO の世界文化遺産に登録された、北海道・北東北の縄文遺跡群
北海道の自然がもたらした縄文文化が世界文化遺産に
2005年に日本で3例目として世界自然遺産に登録された知床をはじめ、オホーツクの流氷やさっぽろ雪まつりなど、北海道の豊かな自然や文化は世界中の旅行者を魅了し、国際的にも注目を集めてきました。
北海道の豊かな自然は、古くは縄文時代の人々の暮らしに「採集・漁労・狩猟」という生活様式と精神文化をもたらし、縄文文化を発展させました。その歴史を今に伝える貴重な文化遺産として、日本の北東北から、北海道の函館市・森町・千歳市・洞爺湖町・伊達市に残る縄文文化の遺跡群や、そこでの文化が、2021年7月27日にユネスコの世界遺産として登録されました。
その遺跡の多くは雪が降る地域にあるため、冬の間は見ることが難しいですが、森町・函館市・千歳市には室内展示があるので、冬季でも北海道の縄文遺跡について学ぶことができます。
北海道の縄文時代と縄文文化
日本の歴史と時代を少し振り返ってみましょう。氷河期が終わるとともに石器が主な道具であった旧石器時代は終わり、今から約1万5,000年前に縄文時代が始まりました。
縄文時代の開始とともに、新たに出現した土器は、縄文文化を代表するもので、地域によって文様が異なっていました。縄文時代は、日本列島で本格的な稲作が始まる約2,400年前の弥生時代の開始まで、約1万年もの間、非常に長く続きました。それは縄文時代が優れた技術や豊かな精神を持った成熟した社会を持ち、生活力が高かったためであると考えられています。
氷河期後の急な温暖化により、北海道にはドングリ類やクリ・クルミが実る豊かな落葉広葉樹の森が広がり、海面の上昇や降雨によって運ばれた土砂の堆積によって、魚介類が豊富に生育できる地形や環境が形成されました。
遠くから安全に獲物をしとめることができる弓矢が使われ、魚介を獲るための釣り針、銛などの漁労具の開発も進みました。さらに、イヌが飼われ、植物の栽培も行われるようになりました。縄文時代は、人々は食料を主に採集・漁労・狩猟によって得ていました。狩りの対象となった動物は、シカやイノシシ、ノウサギなどで、弓矢だけではなく、落とし穴などの罠も使って捕らえていました。イヌも狩りには利用されていたようです。
人々の暮らしは移動生活から定住生活へと大きく変化し、生活の拠点である村が出現しました。村の中には住居や墓が作られ、やがて地域を代表するような拠点的な村も現れました。そこには太い柱を使った大型の建物や、まつりの場所である盛り土などの施設もあり、そういったものの遺跡が現代にも残っています。
世界文化遺産登録された函館市・森町・千歳市・洞爺湖町・伊達市に残る縄文文化の遺跡群では、そのような縄文時代と縄文文化にふれることができます。ぜひ訪れてみませんか?